恋愛小説書いてみた~六本木伝説の男~第3話 小学生レベルの嫉妬
ヨーロッパ旅行へ行った。
私は大学生の頃、六本木のキャバクラでバイトをしていた。
そこで知り合ったルイヴィトン専門のバイヤーの男性とその知り合いの男性1人と私が誘った女友達との4人の旅だった。
バイヤーの男性とは知り合ってまだ数か月。
それは、「2週間のヨーロッパ旅行」兼「買い付けのお手伝いのバイト旅行」だった。
旅費、ホテル代、食費は会社の経費で賄うから、それ以外は自腹でその代わりに自由に観光しても良い、という内容。
もちろん、行くかどうかはすごく悩んだ。
男2女2での旅行なんて非常識すぎるとは思ったし、万が一女友達の身に何かあったら取り返しがつかない。
だが、そのバイヤーの男性が連れてくる男性は、「バイヤーの男性の婚約者の兄」だと言った。
その後、軽くその婚約者とその兄の存在について調べてから、最後は「えいっ」って決断した。
ヨーロッパの2週間は本当に楽しかった。
忙しさと楽しさと、少し心配させてやろうという出来心から、私は「彼」に今回の旅行について報告していなかった。
一度だけ、ヴェネツィアのサン・マルコ広場の公衆電話から「彼」に電話をかけた。
彼は少し驚いた様子だったが、「楽しんでこいよ、気をつけてな」とだけ言った。
旅行から戻り、いつもの六本木の彼の店(サパークラブ)へ寄った。
確か、彼と知り合って2年目の頃だった。
店でヨーロッパ旅行について彼から質問されたから、どこに行って何をしたか答えたら、彼がどうも不機嫌だ。
「男2女2ってことは、夜は何回か同じ部屋だったんじゃないのか?」
「いえ、部屋はもちろん別でした」
「そんなんおかしいやろ。何回やったんや?」
「いや、だから。。してません!」
変な空気になっていた。
彼は不機嫌だし、そこのサパークラブの従業員の男の子2人はこの話に特に興味がないから、携帯をいじりはじめた。
彼は本気で怒ってきた。
「うちの従業員はな! 海外旅行なんて行けないんだよ!!
なのに、そんな話をするのは最低だ!! 人としてお前は最低だ!!」
と言って、怒っている。
もちろん酔ってるからなんだろうけど、この人どうした?笑
私も驚いたし、私以上にそこに居合わせた従業員の男の子達がポカンとしていた笑
確かに、サパークラブで働く男の子達は、あまり裕福ではないことも多い。
大きく稼げるホストクラブと違って、そこの男の子達も普通の生活水準の子が多かった。
ただ、私はその日、自分がお金を払ったか、彼が払っておいてくれたかは覚えていないが、周りからみたら一応私は、「大学生の安っすいお客さん」である。
私は旅行についてただ聞かれたことを短く簡潔に答えただけだったのに笑
「やったなら、やったって、言えばええやろ?」
「やってないなら、正確に説明してみろ!!」
「どっちかわかれへんから、みんな気になって変な空気になんねんから!!」
おそらくそこの従業員の男の子達は、本当に、その話にも私にも興味はなかったから、
「え?またこの話ぶり返すのか?」
って顔をしている笑
「きちんと答えないと、うちの従業員にも失礼だろ!」
なんか、もうあまりにしつこく聞いてくるから、彼以外のリスナーは全てこの私の旅行話に興味がないことを知りつつも、丁寧にきちんと説明した。
どうしてその旅行が健全だったか。
一緒に行った男性2人の様子から何から全て丁寧に説明した。
バイヤーの男性は婚約者の女性に惚れていて、自分の仕事の様子を見せて信用を得るために彼女の兄を連れてきてたから、健全な旅行だったんですって説明をエピソードも加えて長々と説明した。
そしたら、彼、
「なるほど、よくわかった。俺も悪かったわ。怒ってすまなかったな。」
・・だと笑
その後はあほほど優しかったけど、帰りのタクシーで二人っきりになった時に彼は、
「いや、さっきは悪かったけど、やっぱりうちの従業員の前で旅行の話とかはせんとってほしい。あいつらは、ほんまにそういう旅行とか行かれへん生活してるから」
って。
まあ、その気持ちも本当だったんだろうけど、そもそも旅行の話を質問し続けたのはあなただよ?って、あの時そう思いながら私は黙って少し嬉しかった笑
酔っていたんだろうけど、あれは彼の嫉妬だったのではないかと思うのは私の自惚れなのだろうか。
今となっては確認することもできない。
第4話 全ての始まり に続きます。
今日も読んで頂き、ありがとうございました。
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