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フェミニストが恋愛小説書いてみた笑~六本木伝説の男編~第1話 オレンジの箱との再会

フェミニストが恋愛小説書いてみた笑~六本木伝説の男編~第1話 オレンジの箱との再会

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オレンジの花


狭い部屋だった。

 

大阪府門真市のとあるワンルーム マンション。

狭すぎる部屋には、大きすぎるキングサイズベット。

 

ほんの数分前に彼が話していた、高額で作らされたというカツラが3つ並んでいた笑

 


彼と会うのは3年ぶりだった。


彼を想い続けた時間が6年だったから、忘れるのにもちょうど半分かかった。



今はかつての六本木のマンションでもなければ、元奥様と住んでた高級マンションでも、離婚後に移り住んだ広尾の高級マンションでもない、彼の地元である門真市の古いワンルームマンション。



何もなかった。


かつてはいつも彼の部屋にあった、高級スーツや高級家具、ルイヴィトンの特注ドンペリも飾られていない。

彼が好きだったバカラのグラスもない。


その代わりに、生活感のあるどんぶりとマグカップ1つと、無料で集めてきたであろうティッシュと割り箸が積まれていた。



「俺が落ちぶれたと思ってるやろ。」

 

笑いながら言う彼。


「まあ、しゃあない、それも事実や。」

 

「やけど、車は一応ベンツだよ、軽やけどな」

と彼は笑って言った。

 

そういえば彼は本質を見抜く男の割にはブランドを嫌っていなかった。

「結局は、定番が一番いいんだよ。車はベンツで、銀行は東京三菱銀行がええし、ケータイはdocomoだろ。」

そう言ってたのは2000年前後の、いつだっただろうか。

 

 

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何もない、クローゼットもなく、本当に何もない部屋にひとつだけオレンジの長方形の箱があった。



あ、これエルメスの箱だ。

もしかしてと思って、中を開けてみた。



これ、私が出会った頃に、まだ私が19歳だった頃に彼の誕生日プレゼントにあげたやつだ。


あれから何度も引っ越してるし、十数年経ってるのにまだ持っててくれたんだ。。。

私が19歳の頃、彼の35歳の誕生日。

きちんと向き合えるかも、関われるのかもわからなかった彼への誕生日プレゼントなんて何を買ったら良いかわからなかった。

お金はたくさん持ってる彼だから高いものは喜ばないだろうし、当時の彼はプレゼントなんて嫌になるくらい貰っていた。


手作りにしようか何にしようかさんざん迷ったあげく、朦朧としてエルメス銀座店に入り、店内で値段が一番安かった石鹸3つセットを買った。

「悩みすぎると人は変なものを選んでしまう。」

このパターンに見事にはまってしまった笑


エルメスの石鹸が3つで2700円。

そうなりゃもう安いのか高いのかもよくわからない笑



誕生日当日、華やかなプレゼントをもらい続けてた彼に、本当に恥ずかしかったけど、エルメスのオレンジの箱を差し出した。


私の大きな身体はその時恐縮しすぎて多分米粒大くらいになってた

中を開けると彼、

「石鹸3つって、お中元やん〜!贈答品コーナーでも行ったんか??笑
でも俺の為にエルメスに入ってくれたんや!ありがとうー!」

って

 


聞けばよかった。


あのエルメスの箱を見つけた時に、私があげた物だって覚えてて持っててくれてたのか、たまたまその石鹸だけは何度も繰り返した引越しの度にも、たまたまついてきただけなのか。


普通に聞けばよかった。



3年ぶりの再会に、彼は冗談めいて笑ってこう言ったの。

 

「お前のことは年に1回ぐらいは思い出してたよ!いや、2年に1回くらいかなあ」


顔を見ればわかる。

そんなこと言いながら、相当何度も思い出してたなってわかった。

彼は、自ら去っていった過去の女達のことは、とても美化して記憶していたから。



私は彼のことはわかる。

彼の気持ちだけは手に取るようにわかる。

 

彼は私が当時感じてたよりは私の事が好きだったし、私がわかってたくらい、私が当時望んでいた程は私の事を大切には思ってはいなかった。

 

当時の私は、愛情を感じる能力が足りなかったし、彼は側にいる人を大切にする能力が足りなかった。


それが、別れてから、失ってからは大切だったと気づいたのだろう

。。本当によくある話だ。

わざわざ筆をとる理由も、人に話す理由もない。
ごくごくありふれた話だ。



第2話、「ケータイの中身」 に続きます笑

 

今日も読んで頂き、ありがとうございました。

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